れですも色々

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ここの主なテーマ?は「明治の人」

「加藤武雄 木村毅集 反逆・清水冠者義高・旅順攻囲軍・都々逸坊扇歌」
大衆文学代表作全集 河出書房

目当ては勿論旅順攻囲軍だったが、100円の古本端本にしては拾い物だった。
目当ての小説より他の小説に夢中になった。

「誰のために」石水真清 中公文庫
「城下の人」「廣(正確には日編)野の花」「望郷の歌」に続く完結編。
全部持っていたはずだがこれしか見当たらない。
日露戦争前から帝政ロシアで諜報活動をし、大正期にもロシア革命後のシベリアに渡り諜報に従事した元陸軍軍人。

「父と私の二・二六事件」岡田貞寛 光人社NF文庫
2.26事件というのは事件名ばかりが一人歩きし、映像化された作品もいたずらにお涙頂戴な描写ばかりでどうにも辟易するものが多い。
また陸軍軍人が決起したクーデターのせいか海軍側からの見方も物足りなく、片手落ちが目に付く。
これは当初殺害されたと伝えられた時の首相が、クーデター側の監視をすり抜け憲兵の協力を得て、脱出した話を首相の次男が書き起こしたもの。

「歴史読本 勝海舟特集」昭和49年新春2月号
下母澤寛を読んでいる時に古書店で見かけ、購入。
目新しいものはないが、色々な立場からの勝海舟論が読めた。

「歴史と人物」昭和50年1月号 中央公論
特集は「昭和を動かした10人」。
高橋是清について読みたくて購入。

「氷川清話」勝部真長編 角川文庫
正直、一番購入したくない版だったが戦前のものはとてつもない値段で買えず、半べそで購入。
完全版が欲しい。

「明治大正見聞史」生方敏郎 中公文庫
これこそが本当のルポではないかと思う。
高い視点からではないが実感を伴う筆致なのに、客観性をも感じさせる。

「細川日記」上下 細川護貞 中公文庫
この日記と高松宮日記をつき合わせて読むと、何かが見えてくる。
また前述の高木惣吉などとの終戦工作の一端も。

「戊辰物語」東京日日新聞社社会部編 岩波文庫
何気なしの維新のこぼれ話を集めたように読んでいる内に、どこかで読んだような記憶がある文章にぶつかった。
下母澤寛である。
あとがきを見るとやはり当時の社会部には在籍していたようだ。
一章について2作くらいの小説ができそうな素材ばかり。

「回顧録」上下 牧野伸顕 中公文庫
幼少時代からパリ講和会議までの証言記。
吉田茂の岳父にあたる。
軍部の圧力によって宮内大臣を辞める際、若かった昭和天皇が涙を流して送ったという記述が「入江相政日記」にある。

「明治富豪史」横山源之助 社会思想社
語り書きのような手法で気楽に見えるが、これを集めた編集者は賞賛に値する。
何せ筆名をいくつも使い分け、執筆された雑誌もばらばら。
明治の頃の慣習だったとはいえ陰に隠れた労力はすごい。

「日本捕虜志」長谷川伸 中公文庫
古書店で見つけた瞬間、静かな店内に響く声で「あった」と叫んで申し訳ないことをした。
それほど探しあぐねていた本。
空襲の最中、土の中に埋めながらこれを守り、執念で執筆・出版した著者の魂が心に響く作品。

「昔夢会筆記」渋沢栄一編 大久保利鎌校訂 東洋文庫
徳川慶喜の回想を直接書き起こしたもの。
これも欲しかった本で中々手の出る値段ではなかった。
肝心な処に差し掛かると上手にとぼける15代将軍と、丁寧ながらも真相に迫ろうとする周りとのやり取り自体がすでに作品になっている。
但し維新の出来事がある程度頭に入った上で読まないと、何がなにやら判らないだろう。

「懐旧九十年」石黒忠直(直は正確には下に心がつく) 岩波書店
弘化2年から昭和16年まで97歳の長寿をまっとうした。
武家から医者になり、文部省から兵部省、陸軍省と主に衛生分野で活躍した。
この自伝はそのまんま日本の近代化への道を辿っている。



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